2013年12月19日木曜日

ソウルから日帰りできる伝統の島・江華島の旅② 江華人参センター

 江華島(カンファド)は米、かぶ、うなぎなど様々な特産物がありますが、何と言っても有名なのが高麗人参(コリョ・インサム)です。江華市外バスターミナルの並びに農協が直接運営している人参センターがあります。建物に入ると人参独特なにおいが漂ってきます。内部は5~6m四方の一角ごとに各個人の店舗となっております。店の前は山積みの人参がたくさんのケースに入れられて店頭に並べられています。人参はいろいろな等級に分けられていて高価なものから破損や形の変形した廉価なものまで様々です。破損したものであれば中くらいのビニール袋に一杯入れた量で3万ウォン前後にて購入できます。 韓国で産出される高麗人参の中で江華島産は高価な商品として取引されています。人参で最も薬効があるのが6年間栽培したもので6年根と言われ、ここ江華島しか栽培できないと言われています。採取した後の畑は何年も遊ばせておかないと地力が回復しません。江華島の高麗人参は元々は近くの開城(ケソン)近郊で栽培されていましたが、後に江華島でも栽培されるようになりました。  ソウルで購入するより格段に安く手に入る人参センター。人参の他に人参酒、人参茶、粉末などの加工品も販売されています。但し、人参そのものを日本に持ち帰る場合は土が付いていない状態で持ち帰らないと植物検疫を通りませんので、お気を付け下さい。 場所は江華バスターミナルに面する大通りを右に行った所にあります。隣は2日と7日の付く日に五日市が開かれる風物(プンムル)市場です。

2013年12月18日水曜日

古都・慶州で自分の体をいたわる ― 花村(コンマウル)韓方病院

韓国を代表する古都・慶州は、紀元前57年から935年まで千年にわたって王朝を築いた新羅の都です。その時代の仏教文化を伝える「石窟庵」(ソックラム)と「仏国寺」(プルグクサ)が1995年にユネスコ世界遺産(文化遺産)に登録され、世界中から観光客が訪れる地でもあります。  その後、2000年には遺跡が多く集まる慶州市一体の地区が「世界遺産慶州歴史遺跡地区」に指定され、さらに2010年には朝鮮時代の儒教文化を伝える「良洞村」が、安東の河回村とともにユネスコ世界文化遺産に搭載されました。  そんな歴史の香り漂う慶州を観光するなら、ついでに、韓国式の韓方病院に立ち寄ってみるのはいかがでしょうか? 花村(コンマウル)韓方病院は、慶州とソウルにある韓国で有名な漢方医院。どちらも予約がないと入れないほどの人気で、患者さんたちは不眠、冷え、便秘、皮膚病、肥満などの悩みを抱え、一時的ではなく、体の中から直したいと訪れる方が多いそう。
まずは血圧を測定し、先生のカウンセリングを受けます。先生はとてもやさしい方で、安心して相談できました。 その後、さまざまな機械で、血液検査、ストレス診断などを受け、その場で自分の体の状態を示してくれます。指先を針で刺して採った血を顕微鏡で見てもらったところ、「血液の状態がとてもきれいです」とのお言葉。
検査の結果を持って、体質が四象体質のどれに当てはまるか先生に診断してもらいます。私は、太陰人(テウミン)というグループに診断されました。体に合わない食べ物などを日本語で記した表をもらいました。気になることを相談すると、食べたほうが良いもの、控えたほうが良いもの、生活に取り入れたい運動などをアドバイスしてくださいます。
〔上〕ハトムギ茶をたくさん飲むこと、1日40分ほどの軽い運動を薦められました。
〔上〕プハン(カッピング)もあります。血行を良くし、デトックス効果を高めるそうです。
〔上〕お灸をしているところです。ベッドの背中部分にも穴が開いていて、遠赤外線で下からも温めます。 今回は診断と、カッピング、お灸を体験しましたが、希望があればご自身に合わせた韓方薬も調合してくれます(ただし、薬を受け取りが翌日以降になります)。 また、日本語ができる先生もいらっしゃいますが、通訳の方がいたほうがよいでしょう。 花村の韓方治療体験の予約やツアーは以下よりお問い合わせください。アレンジも承ります。 【釜山発着地方】 慶州<韓方治療&体験>1日ツアー

2013年12月17日火曜日

ソウルから日帰りできる伝統の島・江華島の旅① 伝燈寺

   ソウルから西に約50km。江華島(カンファド)は漢江(ハンガン)の河口と本土とを狭い水路にて隔てた所に位置しており、大きさは韓国第5位で黄海に面しています。江華島は韓国での神話に出てくるくらい歴史が長く、それぞれの時代の遺跡や建物が島に密集しています。その中でもひと際優雅であり、伝統のある所が今回ご紹介する伝燈寺(チョンドゥンサ)です。  伝燈寺は江華島南部の鼎足山(チョンジョクサン)中腹にあり古刹で、創建は西暦381年に中国から渡来した阿道和尚により建立されました。朝鮮半島に仏教が伝来したのが西暦372年なので、9年後に出来たことになり、韓国で最も古い寺のひとつです。当時は真宗寺(チンジョンサ)と呼ばれていました。この寺は他と違って砦としての機能も備わっております。創建当時はすぐ南側まで海となっており、敵の侵入を防ぐため三郎城(サムナンソン)という城壁で囲っていました。 時代が下って13世紀に半島にモンゴルが侵攻すると当時の高麗王室は対岸に位置する首都・開城(ケソン)から避難のためこの寺に王宮を移し、大きく重層しました。その後、現在の江華市中心部に王宮を建設して臨時首都とし、遷都した後に寺の名を伝燈寺に変更しました。短い期間ですが、高麗国の首都となった寺でもあります。    朝鮮王朝時代は崇儒廃仏政策で仏教受難な時代でしたが、王室の正式の記録である朝鮮王朝実録の保管など、伝燈寺は一貫して高い地位を保ってきました。 19世紀になり西洋列強諸国が韓国にも積極的に進出してきました。西暦1866年にフランスの艦隊が江華島に攻め入りましたが、この伝燈寺を囲む三郎城に阻まれ撤退するに至りました。長い歴史を通じて様々な出来事がこの寺を刻んでいます。 三郎城の南門である寺の正門を入り、登り坂を行くと趣のあるお堂が見えてきます。伝燈寺と書かれた偏額の門をくぐると本殿たる大雄宝殿が現れます。中では熱心な信者が祈りをささげています。その左には薬師殿という美しいお堂があります。土台より上部を窄めることで重い瓦屋根を支えています。これらの御堂と庭にある様々な木々とのコントラストは絵になる風景です。ここはテンプルスティも1泊2日などで行われており、外国人にも盛況です。  伝燈寺のアクセスは江華市中心部の江華バスターミナルから市内バスがありますが、本数が少ないため、タクシーをチャーターした方が便利です。  ソウル近郊の江華島にある歴史ある古刹。是非一回訪れてみて下さい。

2013年12月5日木曜日

新見寿美江先生と行く「第2回陶磁器紀行」

ベテラン韓国ライターの新見寿美江先生と行く旅。好評につき新たに企画された「第2回 陶磁器紀行」は秋深まる慶尚南道を巡る旅でした。

真っ盛りの紅葉が歓迎するなか、初日は金海粉青陶磁館をゆっくり見学、展示品を見ながら、陶磁器の話で盛り上がり、今回初めてツアーに参加された方も2回目の方も皆打ち解け、和気あいあいとした雰囲気でのツアーとなりました。

翌日はまず熊川(ウンチョン)へ。朝鮮時代の陶窯址で9つの登窯跡とそこから発掘された陶磁器の破片を実際に見て、いにしえに思いをはせ、次の見学地の山清(サンチョン)では陶芸家・閔泳麒先生を訪ね、温かいおもてなしと美しい作品に時の経つのも忘れるほど。次に訪れた河東(ハドン)では韓国で最初に茶が植えられた地を訪ね、夕焼けに山が真っ赤に燃えるなか、夕暮れの静かな双渓寺を訪れました。

展示館
熊川陶窯址展示館


新見先生とツアー参加の皆さん

3日目は初雪が降るなか、梁山(ヤンサン)で森野屯地窯・申正熙窯、と2箇所の窯元を巡り、通度寺へ。お寺ではお坊さんたちのキムジャン(キムチ漬け)にも遭遇しました。男性ばかりのキムジャンは一風変わった光景でした。

最終日は釜山博物館と釜山女子大学を訪問。釜山女子大学の茶器博物館の素晴らしいコレクションには目を見張るばかり。引き続いて、韓服に着替えての韓国式茶道体験も皆さん楽しそうに取り組まれていました。韓服もとてもお似合いでした。

韓服に着替えての韓国式茶道体験
韓服に着替えての韓国式茶道体験

今回、全国から集まった皆さんは、本当に陶磁器やお茶のお好きな方ばかりで、博物館の展示をひとつひとつ丹念にご覧になり、作家先生とのお話にも身を乗り出して熱心に質問され、お互いに陶磁器について語り合い、始終和やかな雰囲気でした。

新見先生はムードメーカーとしても大活躍、バスの中でマイクを持って移動し、参加された皆さんにインタビューしたり、夕食で立ち寄った市場では、急きょお菓子屋さんの売り子に大変身し、私達にいっぱいおまけをしてくれたり、気さくにニックネームで呼び合ったり、と、お茶目な新見先生のおかげで旅がさらに楽しくなりました。

新見先生が売り子さんに変身!

参加された皆さんから「メンバーが皆さん優しく好い人ばかりで楽しく旅行が出来ました。」というお声をいただき、大変ありがたく、うれしく思いました。
第3回で皆さんと再会できますように。また、新たなメンバーも加わり、陶磁器ファンの輪が広がっていくことを期待しています。

【新見寿美江(にいみすみえ)先生】 
プロフィール 
編集者・フラワーデザイナー 
国内外の旅行ガイドブックを企画編集する一方、韓国文化への関心が高く陶磁器の里や塩づくりの島、蕎麦畑やマッコリの蔵元など食に関するふるさとを訪ね歩いている。また、現在は気の向くままに作った陶磁器に草花をあしらうことを楽しみとしている。 
著書:『韓国陶磁器めぐり』『韓国食めぐり』(JTB刊)近著『ソウル韓方入門』(叢文社)他