2013年12月17日火曜日

ソウルから日帰りできる伝統の島・江華島の旅① 伝燈寺

   ソウルから西に約50km。江華島(カンファド)は漢江(ハンガン)の河口と本土とを狭い水路にて隔てた所に位置しており、大きさは韓国第5位で黄海に面しています。江華島は韓国での神話に出てくるくらい歴史が長く、それぞれの時代の遺跡や建物が島に密集しています。その中でもひと際優雅であり、伝統のある所が今回ご紹介する伝燈寺(チョンドゥンサ)です。  伝燈寺は江華島南部の鼎足山(チョンジョクサン)中腹にあり古刹で、創建は西暦381年に中国から渡来した阿道和尚により建立されました。朝鮮半島に仏教が伝来したのが西暦372年なので、9年後に出来たことになり、韓国で最も古い寺のひとつです。当時は真宗寺(チンジョンサ)と呼ばれていました。この寺は他と違って砦としての機能も備わっております。創建当時はすぐ南側まで海となっており、敵の侵入を防ぐため三郎城(サムナンソン)という城壁で囲っていました。 時代が下って13世紀に半島にモンゴルが侵攻すると当時の高麗王室は対岸に位置する首都・開城(ケソン)から避難のためこの寺に王宮を移し、大きく重層しました。その後、現在の江華市中心部に王宮を建設して臨時首都とし、遷都した後に寺の名を伝燈寺に変更しました。短い期間ですが、高麗国の首都となった寺でもあります。    朝鮮王朝時代は崇儒廃仏政策で仏教受難な時代でしたが、王室の正式の記録である朝鮮王朝実録の保管など、伝燈寺は一貫して高い地位を保ってきました。 19世紀になり西洋列強諸国が韓国にも積極的に進出してきました。西暦1866年にフランスの艦隊が江華島に攻め入りましたが、この伝燈寺を囲む三郎城に阻まれ撤退するに至りました。長い歴史を通じて様々な出来事がこの寺を刻んでいます。 三郎城の南門である寺の正門を入り、登り坂を行くと趣のあるお堂が見えてきます。伝燈寺と書かれた偏額の門をくぐると本殿たる大雄宝殿が現れます。中では熱心な信者が祈りをささげています。その左には薬師殿という美しいお堂があります。土台より上部を窄めることで重い瓦屋根を支えています。これらの御堂と庭にある様々な木々とのコントラストは絵になる風景です。ここはテンプルスティも1泊2日などで行われており、外国人にも盛況です。  伝燈寺のアクセスは江華市中心部の江華バスターミナルから市内バスがありますが、本数が少ないため、タクシーをチャーターした方が便利です。  ソウル近郊の江華島にある歴史ある古刹。是非一回訪れてみて下さい。

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